健康ブームの近年は、たくさんの体に良い食べ物が知られていますよね。
しかしどんなに体に良いとされていても、そればかりを食べることは逆に不健康になってしまいます。
栄養摂取で大切なのは、バランスだと言われています。
特定の食品ばかりを食べることは、栄養バランスの偏りに繋がってしまいます。
では、そもそも栄養バランスの良い食事とはどのようなものでしょうか?
それはその人の年齢、性別、日々の活動状況によって変わってきます。
例えば、同じ年齢でも男性と女性では必要カロリーも異なります。
同じ年齢、性別でも普段から運動をたくさんしている人であれば、タンパク質やエネルギーとなる炭水化物を摂取する必要がありますが、それほど運動をしないのであれば、炭水化物は控えめにするべきでしょう。
自分にとって最適なバランスを知ることが、もっとも重要です。
厚生労働省は「日本人の食事摂取基準」を公表しています。
これは国民の健康の保持・増進、生活習慣病の発症予防・重症化予防を目的に、科学的根拠に基づき、エネルギー及び栄養素の摂取量を年齢・性別ごとに基準を設けたものです。
この基準を目安に、“栄養バランスの良い食事”を考えてみるのも良いでしょう。
農林水産省HP 「食事バランスガイドについて」
https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/
栄養バランスを考える上で重要な要素となるのが「五大栄養素」です。
これは5つの主要な栄養素である炭水化物、脂質、タンパク質、ミネラル、ビタミンを総称したものです。
それぞれどのような特徴があるのか、見ていきましょう。
炭水化物は糖質と食物繊維に分けられます。
糖質は脳や体を動かすエネルギー源となり、食物繊維は腸内環境を整えたりなどします。
不足すると疲労感を感じたり脳の働きが低下したりしますが、過剰になると肥満のもとになります。
「脂質」と言われると、なんとなく太りそうで体に悪いというイメージを持たれるかもしれません。
しかし、脂質はあらゆる面から体にとっては欠かせない栄養素だと言えます。
脂質は1gあたり9キロカロリーのエネルギーを生み出します。
これは、糖質やタンパク質の倍の量です。
また、エネルギー源としてだけでなく、ホルモンや細胞膜、核膜の原料となったり、皮下脂肪となって体を寒さから守ったりするなどの役割もあります。
脂質は、大きく分けて2種類に分類されます。
1つは、肉や乳製品の脂のように常温で固体となる飽和脂肪酸です。
もう1つは、植物や魚の油など常温で液体状となる不飽和脂肪酸です。
不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸に分けられ、体内での合成ができない多価不飽和脂肪酸は、n-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)、 n-6系脂肪酸(オメガ6脂肪酸)に分かれます。
n-3系脂肪酸は血液をサラサラにしたり、アレルギー疾患を予防したりする効果があります。
タンパク質は、体を構成する上では欠かせない栄養素で、アミノ酸と呼ばれる物質によって構成されています。
アミノ酸は、体内で合成できない「必須アミノ酸」と、体内での合成が可能な「非必須アミノ酸」に分かれます。
必須アミノ酸は9種類、非必須アミノ酸は11種類あります。
タンパク質が食べ物を通じて摂取されると、消化の過程でアミノ酸に分解されます。
その後アミノ酸は血液を通して全身へ運ばれ、骨や内臓、筋肉、皮膚、髪の毛を構成したり、ホルモンや体内で働く酵素の原料となったりもします。
タンパク質が不足すると、筋肉が減少したり皮膚や髪の毛のハリが失われたりします。
また、タンパク質は免疫を司る抗体の元ともなっているので、免疫力も低下していきます。
よってタンパク質は、健康的で元気な体づくりには欠かせない栄養素と言えます。
ミネラルとは本来、岩などに含まれる無機物を指します。
全部で100種類以上もあるミネラルですが、人間に必要なミネラルはそのうちの16種類です。
マグネシウム、カルシウム、鉄などがそれにあたります。
ビタミンは、人間の体に必要な有機化合物を総称したものです。
ひとつひとつは微量でも、どれも体にとっては必要不可欠な栄養素となります。
体内で生成することはできないので、食べ物から摂取する必要があります。
栄養バランスの取れた食卓を考える上で重要なのは、主食・主菜・副菜の3つを取り入れることです。
主食とは、ご飯、パン、麺類など、炭水化物を指します。
主菜は、いわゆる「メインディッシュ」で、肉、魚、卵、大豆製品などのタンパク質を含む料理です。
副菜は、野菜やきのこ、海藻などを使った、サブ的なポジションのおかずです。
ビタミン・ミネラル・食物繊維の摂取を意識しましょう。
一人暮らしをしていると、ついつい好きなものばかりを選んでしまい、栄養バランスが偏りがちになります。
まずは、自分の食べ方のくせを把握し、足りない栄養素を積極的に取り入れるようにしましょう。