「三大疾病」とは、がん(悪性新生物)、心疾患、脳血管疾患の3つの病気の総称です。
毎年多くの日本人が、これらの疾患によって亡くなっています。
厚生労働省による「人口動態統計(令和2年版)」によると、日本人の死因のランキングは以下の通りです。
順位 | 死因 | 全体に占める割合 |
---|---|---|
1 | 悪性新生物〈腫瘍〉 | 27.5% |
2 | 心疾患 | 15.0% |
3 | 老衰 | 9.6% |
4 | 脳血管疾患 | 7.5% |
5 | 肺炎 | 5.7% |
約半数の人々が、三大疾病のいずれかによって亡くなっていることが分かります。
それぞれの病気の特徴を見ていきましょう。
日本人の死因の最多数を占めているのが、がん(悪性新生物)です。
今や日本人の2人に1人がかかる病気とも言われています。
体内の細胞の一部が、何らかの原因で悪性腫瘍となり、徐々に全身を蝕んでいきます。
治療には長い時間がかかるため、早期に発見・治療を行うことが重要です。
食生活や喫煙といった生活習慣が要因となるケースがほとんどと言われています。
よってある程度の予防が可能ですが、100%防げる訳ではありません。
がんの次に死亡数が多いのが、心疾患です。
「心疾患」は心臓に起こる病気の総称で、狭心症や心筋梗塞などが含まれています。
胸痛や息切れ、呼吸困難などを引き起こす狭心症や、心筋へ血液が回らなくなる心筋梗塞は、突然死へと繋がる場合もあります。
いずれも動脈硬化が直接の原因となるので、日ごろから生活習慣に気をつけることが予防策となります。
心臓から脳へは、脳動脈を通して酸素や栄養が送られています。
この脳動脈にまつわる様々な疾患を総称して「脳血管疾患」と呼びます。
その中には脳の血管が詰まり血液が流れなくなる「脳梗塞」や、脳の血管が破れて出血をおこす「脳出血」、動脈瘤が破れて出血をおこす「くも膜下出血」などといった病気が含まれます。
三大疾病を引き起こす要因の多くは、長年積み重なった生活習慣から生まれます。
がんであれば、食生活(食品添加物や発がん性物質の過剰摂取)、喫煙、放射線や紫外線などが挙げられます。
また動脈硬化は、心疾患や脳血管疾患の原因の最たるものです。
高コレステロール、高血圧、ストレス、喫煙、糖尿病、肥満、運動不足などがその要因となります。
上に挙げた要因は、自分の心がけでリスクが回避できるものばかりです。
日々の生活習慣を少しずつ見直していくことが、予防の第一歩となります。
三大疾病の医療費は、どのくらいかかるのでしょうか?
下の表に、各病気の1回の入院費の相場をまとめてみました。
病名 | 1度の入院費の相場 | 自己負担額の相場 (3割負担の場合) |
入院日数 |
---|---|---|---|
がん | 86万円 | 26万円 | 15~20日 |
心疾患 | 81万円 | 24万円 | 8~10日 |
脳血管疾患 | 116万円 | 35万円 | 15~25日 |
三大疾病は、治療に長い時間を要するものばかりです。
入院も複数回行い、定期的に通院することも考える必要があります。
すべてを合わせて、数百万単位の金額を見込んでおくと良いでしょう。
また、治療費以外にも様々な費用がかかります。
治療中は働くこともできないため、数ヶ月分の生活費も用意する必要もあります。
多額の治療費がかかってしまった人に対しては、「高額療養費制度」が適用されます。
これは、1ヶ月あたりの自己負担限度額を超えた医療費を払い戻してもらえる制度です。
払い戻し金額は、年齢や収入によって変動します。
例として、年収180万円の70歳男性の場合を考えてみましょう。
外来で自己負担額が6万円だった場合、約4万円前後の払い戻しを受けることができます。
日々の生活から気を付けることで、三大疾病のリスクを避けることができます。
食事面とその他の生活習慣の面から、気を付けるべきポイントを挙げていきたいと思います。